外郎売


外郎売(ういろううり)

外郎とは、外郎家が作る小田原名物の万能薬。

二代目團十郎の声が出なくなったときにこれを服用し、声が出るようになり、その感動を芝居にしたいと外郎家に懇願し、最初はお断りされていたが、ついに許可し、今に伝わるとされている。

曾我物語(父を討たれた兄弟が18年の歳月をかけてその敵を討つ)の一幕

「曾我五郎時致」「曾我十郎祐成」が敵役(かたきやく)の「工藤左衛門祐経」が登場する。現在では曾我物を呼ばれ五郎、十郎兄弟が登場する演目は多い。

あらすじ

工藤左衛門祐経が富士の裾野で巻狩りの総奉行をつとめることとなり、部下や茶人、遊女を伴い麓の大磯の廓(くるわ)で酒宴を行います。

そこへ外郎売(実は曾我五郎)が登場。工藤左衛門祐経が興味を持ち、呼び寄せる。

そして外郎の早口の言い立て(売り口上)を願い、そこで見事な早口を披露し、周囲を感動させる。

茶人の珍斎がこの早口を披露したら女性にもてるのではないかと、外郎を所望する。1粒飲むがうまくいかず、やり取りをする中でまじないとして「手を打とう」というところで外郎売(実は曾我五郎)が工藤左衛門につかみかかろうとする。

そこで「まてまて弟、早まるな」と兄の曾我十郎が登場する。仇討ちするなら兄弟そろって一太刀二太刀浴びせようぞ!と息巻く。

奴(やっこ)との立ち回りを経て、工藤左衛門祐経に詰め寄るが届かず、18年の想い、悔しさをにじませる二人の姿を見た工藤左衛門祐経が、狩り場の配置図を投げ渡し、総奉行の役が終わった時に潔く討たれようと約束して、幕が下りる。

見どころ

1、言い立て

立て板に水の如くスラスラと早口なのに聞き取りやすく身振り手振りで視線を一か所に集める名シーン

2、遊女の踊り

「手を打とう」と立ち上がる五郎の衣装替えの場面で遊女がその間踊る。素晴らしい衣装

3、立ち回り

奴(やっこ)衆が登場し、五郎、十郎を引っ捕らえようとする舞台半分と花道を使った迫力のある場面

4、各シーンで見られる美しい立ち姿


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